みなさまはじめまして。grayn広報班のライティング担当 "C" と申します。本ブログでは皆様がgraynの活動や今後の写真ライフを送るうえで助けになれるような情報を発信していこうと思っております。また、Twitterでも不定期に豆知識を発信しているのでフォローいただけると幸いです。 さて、 今回のテーマは "フィルムの調達" です。昨今では町の写真屋さんでも白黒はFujifilmのACROS2とKodakのTri-Xしか置いていないなんてこともザラ、しかもそのお値段が結構張ることが多いです。それには様々な要因があるのですが......あまり気分のいい話ではないのでここでは置いておきましょう。そんなことよりもgrayn広報メンバーからおすすめのフィルム調達法を募りましたのでここで紹介いたします。それでは短いですがよろしくお願いいたします〜。0. 自家現像する まず大前提として、 自家現像することでフィルム写真のランニングコストは大幅に削減できます。写真店に白黒の現像を頼むと、現像方法の指定ができず好みの画づくりができない事が多い上、価格も場合によっては1000円を超えてくることがあります。しかし、ちょうどgraynに参加する各大学には暗室と現像薬品・設備があり、1回の現像代は数十円程度です。これを写真展向けの作品制作終了後もどしどし活用していきましょう。1. 安くて優秀なフィルムを買う "フィルムの値段が上がっているならそもそも安いフィルムを買えばいいじゃない" とは中の人Cの言です。フィルムとて種類がありますからその価格にも幅があります。しかも高いものがみな "良い" わけでも、安いものが全部ダメダメなわけでもありません。”中身” が同じフィルムであれば、その中で最も安いものを買えばいいわけです。 ここで、フィルム供給の構造について触れなければなりません。実は、すべてのフィルムブランドが独自の工場で生産をしているわけではありません。有名どころではADOXやFoma, Ilford, Kodak, ORWOなどが自社で原材料からフィルム(感光剤 = 乳剤)を生産できるのに対し、CineStillや後で紹介するMARIX, Reflx Labなどといったブランドのフィルムは、乳剤を生産できるメーカーのフィルムを仕入れ、加工してパトローネに詰め替える、といった工程を踏んでいます。そのため、製造者から発売されているフィルムを買うことで実際に使っているフィルムの素性を信頼できます。そのうえ多くの場合最も安く安定的に供給されるため、継続して作品制作を行えるでしょう。このような詰め替え元、詰め替えたブランドには、「詰め替え元—Foma、詰め替え先—Arista Edu・MARIX など」「詰め替え元—Harman Technologyのいずれかのフィルム、詰め替え先—Fujifilm Neopan ACROS2」 などがあります。2. 納得できる "期限切れ" や "訳アリ" を使う 店先やネットショップでは時折フィルムが "期限切れ" と称して値下げされることがあります。例えば渋谷のビックカメラなどには期限切れフィルムを置いていることがよくあるそうです。フィルムは結局のところ本体となるプラスチックの膜(フィルムベース)とゼラチンや塩化銀などの化学薬品(乳剤)ですので、”期限” を多少過ぎたところでその性質がガラリと変わるわけではありません。言わば賞味期限のようなもので、メーカーが品質を保証できる期限というだけのものです。常温で保管されて期限が10年切れたものは1段(半分)感度が下がる、と言われているため、中の人Cは期限から1~2年切れ程度なら特に問題はないと考えて使っています。 また、箱が潰れるなどの理由で割引になっているものも狙い目でしょう(箱目当てで買うなら話は別ですが......)。このように様々な理由で割引きになっているフィルムを定期的にチェックし、スーパーの半額総菜のごとく有効に活用するのも良いでしょう。3. 信頼のおける店やメーカーから買う 要は "買う先を選ぶ" ということです。例えば中の人CはNeopan ACROS2がある店では1500円だったのに対し別のネットショップでは1260円だった、ということに何度か遭遇したことがあります。せっかく写真店が多い東京を拠点に活動するなら、足で安い店や訳アリ品を探しまわるのも悪くないでしょう。 また、 ネットショップやメーカー直販も購入先の候補になります。中の人Cやgrayn広報メンバーが信頼して利用するものには以下のようなものがあります。かわうそ商店(https://kawauso.biz/):数多くのフィルムを安く取り扱ってくれる北海道のお店です。それぞれのフィルムを実写して注意点や現像時間、特性などの情報も研究しています。SilverSalt(http://www.silversalt.jp/):ドイツの名門感材メーカー・ADOXの製品を多数取り扱っています。みらいフィルムズ(http://miraifilms.jp/):主に白黒ネガを安く取り扱っています。いくつかのフィルムはここが最安値だったように記憶しています。MARIXフィルム(https://marixfilm.com/):国内で映画用フィルムの詰め替え品を製造している会社です。最近は映画用E100や航空写真フィルムAerocolorの詰め替えなどのKodakから直接買えないフィルムや、C-41カラーネガ現像キット(!)、Fomapanの長巻も出しています。Reflx Lab(https://reflxlab.com/):中国の深圳を拠点に主に映画用フィルムの詰め替え品や、長巻を扱う際の便利アイテムなどを製造・販売しています。こちらも映画用E100、Aerocolor、旧ラッキーフィルムの乳剤を使用したSHD100に加え、ORWO NC500・400を本家とほぼ同じ値段で取り扱っています。4. 長巻を使う 実はこれが最も原始的で最も手がかかる、最も安い方法です。100ft(30.5m)や400ft(122m)の缶入りフィルムを全暗の暗室やバルクローダーでパトローネやフィルムマガジンに詰めて使用します。36枚撮りのフィルムの長さはだいたい5ftなので、100ftの長巻からは20本、400ftからは80本とれます。また、36枚だけでなく12枚や15枚撮りのパトローネを作ることができるなど、使い勝手もいいです。例えば、grayn各大学や有志で共同購入すると、Fomapan200の100ft缶なら送料込みで1万円程度、つまり36枚撮り1本500円となります。長巻についてはいずれ本ブログで特集しようと考えています。5. よく理解したうえで納得したものを買う ここまで良いフィルムの信頼できる買い方を解説してきましたが、いちばん大事なことは自分が買おうとしているものについてよく理解することです。映画用の詰め替えならレムジェット層(注)が取り除かれているのかどうか、箱潰れの有無、長さや枚数、現像処理などについてです。実は中の人Cもfomapan200のかわいい100周年記念パッケージを店で買って冷凍庫の肥やしにしています。どのような買い物をするかは買う人の自由ですので、長巻、 パトローネ入り、パッケージ目当てなどそれぞれにとって良いフィルムライフを築いてください。 ここまでフィルム調達のちょっとした豆知識をご紹介しました。これからのフィルム調達に少しでもお役に立つことができれば幸いです。以降もフィルムやカメラに関する雑多な情報をブログやTwitterで発信していきますので、これからもgraynをよろしくお願いいたします。(注): 映像カメラ内を走行するフィルムの帯電防止のため、本来の映画用カラーネガフィルムには「レムジェット層」という炭素膜コーティングがしてあります。映画用フィルムの現像処理であるECN-2にはこれを取り除く工程が存在しますが、写真用の現像処理であるC-41にはありません。しかも、この炭素膜が現像液中に溶けだすことがあり、現像機の故障の原因になります。「映画用カラーネガの詰め替え品」を見たら、このレムジェット層が取り除かれているかを特に警戒する必要があります。逆に、するべきではない(と思う)フィルム調達 Amazon, ヤフオクなどで個人的に売られているものをよく確認せず買う 特に映画用カラーネガフィルムをそのままパトローネに詰めたものが出回ってしまっています。MARIXなどの加工した詰め替えフィルムとは違い、フィルム裏の炭素膜を除去していない可能性が高く、よほどのことがない限り信用しないほうが安全でしょう。なお、白黒の映画用については特に問題ありません。 高い店で買い続ける 我々がフィルムにつぎ込めるお金は多かれ少なかれ有限です。これも特段の事情がない限り同じものを買えるなら安い店で買って市場原理を機能させたほうが買う側としても、業界全体の健全性としてもメリットがあると思います。 いずれにしろ項目5で示したように自分が買うものについてよく理解し、納得してフィルムを買うと良いでしょう。